
三波春夫が亡くなりましてから十年目の本年に、四月は「歌の心大全集」そして六月にはこの「終り無き歌藝の道」と、ボリュームのある二つのアルバムをリリースさせて頂くことができました。これはひとえに皆様のご愛顧の賜物と、心より御礼申し上げます。
父が、昭和五十一年に開催いたしました歌手生活二十周年記念リサイタルのパンフレットに、次のような文章を書いておりました。
『・・・創造する喜びを胸に、終り無きわが歌の道は何処まで続くやら、この生命終るまで歌いつづけたい。その時どきの社会と共に、いや、日本人大衆と共に泣き共に喜び、共に怒り、共に夢を語りたい。私はあくまでも日本人の善意を信じて、人間の素晴らしさと美しさに感動しつづけたい。日本に生まれ日本に育ち、日本人の心にせめて楽しみをお送り申し上げたい。
辛い涙が流れた時にせめて薄めて差し上げられる様な歌を、芸を、私は演じつづけたいのである・・・』
この思いを込めて唄った歌声を、これからもずっと皆様にお届けして参りたいと思っております。
そして、三波春夫の歌を楽しんで頂く趣向の一つとして、「三波流舞踊」を始めさせて頂きました。歌の内容を忠実に表現した振付をし、
父の特徴有る所作も随所に取り入れました。生前に父が申しておりました「浪曲という藝の完成形のひとつ」としての「浪曲や歌に合わせた舞踊の舞台」でございます。十曲の舞踊をDVDに収録して付録にいたしましたので、ご高覧賜りましたら、また、踊って頂けましたら幸いでございます。
株式会社三波クリエイツ 代表取締役 八島美夕紀
上記のご挨拶でも申し上げましたが、父の没後十年目の今年から「三波流」という舞踊を三波美夕紀の名まえで始めることにいたしました。
三波流舞踊は、三波春夫の歌の内容を舞踊で表現したものです。三波の唄声と踊りの二つで歌を味わっていただき、登場人物の気持ちや、歌詞に籠もる思いなどをよりご理解頂くことが叶いましたら幸いでございます。
『終り無き歌藝の道』には十曲の舞踊映像が入ったDVDが付録されておりますが、これからもたくさんの曲を振付けして踊って参ります。
皆様に三波流舞踊をお育て頂けましたら幸いでございます。
どうぞよろしくお願い致します。
三波流流主 三波美夕紀 拝
清盛天下を射る
桃太郎侍の歌
俵星玄蕃