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2016年03月04日

聖徳太子憲法を読む 籠の品道 通蒙憲法 第十六条

籠の品道 通蒙憲法 第十六条

『大事は之れ獨にて斷めざれ。
必ず衆と與に宜しく論すべし、
小事は是れ輕し必ずしも衆するに足ばず。
唯、大事を論めるに逮びては、或は癡かにして失あらむ。
故に衆と與に相い辭り辨あえ、則ち理を得べし。』


《読み方》
 大事は これ 独りにてさだめざれ。
 必ず もろびとと共に よろしく 論議すべし、小事は これ かろし 必ずしも衆議するに及ばず。
 ただ、大事を定めるにおよびては、或は おろかにして あやまりあらむ。
 故に もろびとと共に あいゆずり語り合え、すなわち ことわりをうべし。


《訳》
第十六条
 大事は独断専行してはならない、必ず衆議して決せよ。
 しかし、小事は必ずしも衆議するにおよばぬ。
 大事は過失があってはならないから、多数と相談して行えば、事理を誤ることがない。



《三波春夫の解説》
"大事な問題は皆で討議して決めなければいけない。徹底して論じ合え、それでも間違うことがあるのだ”
 衆と共に語り合うことが大切だと示しておられますが、明治政府が発足するにあたって、明治天皇が賢所で読み上げた五箇条の御誓文の中の一つに『広く会議を興し万機公論に決すべし』とあります。これは、太子の憲法を継承するものでした。
 現在、干潟の干拓事業などを始め、名目を変えただけの省益優先、問答無用の、衆を無視した政策が行われています。
 そもそも天地自然の相から言えば、河口辺りや海辺の沼で、淡水と海水が入り混じってこそ、水は変質しないものであり、そこにいる生物も生き生きとするのです。島根県の宍道湖も、佐陀川を通じて海とつながっていて初めて、シジミやワカサギなど宍道湖の七珍と呼ばれる豊かな恵みがあるわけです。佐陀川をせき止めて、淡水湖にしようとする計画がありますが、もう何十年も前から計画の是非を巡ってもめています。
 真に問題を討議するというのは、昔も今もむずかしいものですね。『そのときそれは正しかった』ーある政党の常用語ですが、考えさせられます。


※注釈※
明治天皇
 江戸幕府を倒し、大政奉還を実現。東京に都を移した。
 天皇親政により近代日本の礎を築いた。
 一八五二~一九一二年(在位一八六七~一九一二年)。

五箇条の御誓文
 一八六八年に示された明治新政府の基本政策要項。
 国内的には会議による政治と身分を超えた国民の団結を示し、対外的には開国と和親の推進を示す。
 明治天皇が神に誓うという形で発表されたため御誓文と呼ばれる。

 自然の秩序、人の秩序…。
 そうあらねば成らぬこと、が、最近は甚だしくビックリするほど失われてゆくので、またビックリ…。

 ではまた、来週金曜日に更新いたします。