« 前   TOP  次 »

2016年02月26日

聖徳太子憲法を読む 道の時道 通蒙憲法 第十五条

道の時道 通蒙憲法 第十五条

『民を使うに時を以てするは之れ古よりの良典なり。
故に冬の月は間あり、以て民を使うも可けむ。
春より秋に至るまでは農桑の節なり民を使うべからず。
其れ農ざれば何を食らい、桑ざれば何をか服とせむ。』


《読み方》
おおみたからを つかうに 時をもってするは これ いにしえよりの 良きならいなり。
ゆえに 冬の月は いとまあり、もっておおみたからを 使うもよけむ。
春より秋にいたるまでは 農家の仕事盛んのときなり おおみたからを 使うべからず。
それ たがやさざれば何を食らい、桑つまざれば なにをか きものとせむ。

《訳》
人民を使役するには時期を選べというのは、
古の良典の教えである。
冬期は農閑期であるから人民を使ってもよいが、
春から秋にかけては、農繁期であるから人民を賦役してはならない。
農業をなくしては食うことができず、
養蚕を無くしては衣服を着ることができない。

《三波春夫の解説》
 昔は税として庸・調の項目がありました。庸とは、体を使って夫役をすること、そして調は物を作って納めることです。
そのため、この条文では、

“人民を夫役として使うときは必ず農閑期にせよ。主食の米を作る仕事、また、絹糸を生み出すお蚕さんの仕事は大変に重要な仕事で、これがなければ我々人間は生きてはいけないのだ。よくよく心してやれ”

 と、働く人々への思い遣りが示されています。
『お上の威光を笠に着て、私的なことで人民を使うなど、もってのほかぞ』と太子の言葉が聞こえます。
『人民の豊かさこそ御国の富である』
これはいつの時代でも変わることのない真実です。

 そうです、そうです。頭だけで計算して考えた法律を作って、私達を振り回さないでほしいわー、と思う今日この頃…。

 では、来週も金曜日に更新いたします。