« 前   TOP  次 »

2015年10月30日

聖徳太子憲法を読む 通蒙憲法十七条

 この憲法の正式名称は『日本国推古憲法』とまず記憶してください。


 発布に当たり太子は、群臣百僚を前にして、勿論、主上も御臨席の場で憲法の主旨を説明されました。その日は推古十二年五月の晴れた日でした。


 『なぜ、今上陛下が万国に魁けてこの十七条の憲法を定めたかと申すに、上代の人々は帝も臣も、正直な心で事に当たって来たので、人民も邪な心を持たなかった。

 だが近年の乱れはいかなるものか、諸卿も御存じのように堪えられぬほど甚だしい。今の世がこれならば、後の世には人の数も増えて邪悪な者が顕われ、人道を踏みはずす者が多くなるであろう。

 主上は深くそこに想いを垂れて、本日ここに憲法を公布することと遊ばしたのである。政り事の乱れは国家の大乱。ゆえに天子の御心を載して、臣として職分に励んで頂きたい』


 このようなことを述べられたと想像するのですが、そのときの太子のお姿は、どんなだったでしょうか。この日本第一の聖人は、人の倖せを願うゆえに、心に深く愁いをこめておられたに違いありません。

 人間の本質は変わらないものだと太子は言い切っています。だからこそ、千四百年前の憲法が今でも新しいのです。

 筑紫哲也さんの「ニュース23」に永六輔さんと出演したとき、永さんがこう言われました。


『通蒙憲法は公務員に対するものだと最近知りましたが、すべての人に当てはまる訓えです。しかし、この憲法が廃止されたことは聞いておりません。三波さんも聞いていないでしょう?』
『はい』
『ということは、生きている憲法ってことですよ!』


 三人で大笑いしてしまいましたが、この憲法からは程遠い現状を思うと、とても侘しくなりました。

次回からいよいよ、憲法の条文の解説が始まります。

お楽しみに!

また来週金曜日に更新いたします。