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2011年10月07日

本田宗一郎さんのこと 4

「三波春夫でございます」より

 そして思い出したことが一つあります。


この長野カントリーでプレーを終わった後、入浴を共にしてさっぱりと着替えて帰京するとき、本田さんのヘリが迎えに来て、芝生の上に待機していました。
 本田さんと共に乗り込んだとき、大きな声で「いやー今日は三波さんと一緒だからこんなに大勢の人が見送ってくれてる。こりゃまた嬉しいね。ハハハハ、さようなら、ありがとう……」と手をふられました。
 やがてヘリが舞い上がりますと、その百人以上の見送りの人々が笑顔で手を振ってくれました。私も両手を振って応えて、本田さんを見るとあの笑顔一杯のお姿が背を丸めて人々を見下ろしておられます。だんだん地上の人々が小さな固まりのようになって、ヘリコプターは方向を南に変えました。
 遠ざかる緑のゴルフ場、見送る人々の群。
 手を振る本田さん。
 その時の光景のように、本田さんは天界に昇る時に残された人々にむかって、そして、人生のさまざまな時期に触れ会ってこられた人たちにも、「さようなら」と優しく呼びかけて雲の向こうへ旅立たれたのでしょうか。
 本田さんの豪快な響きのあるお言葉が今も耳に残ります。
 「三波さん、俺もね、やりたい事が何でもやったよ、バカな事もさんざんね。あとは若い者がやってくれる、俺は幸せだ。ハハハハ、そうそうお袋があんたに戴いたレコードを毎日聴いてるって言ってたが、親孝行をしましたよ。ありがとう」

 一緒にいる三波をたててくださるお気遣い…。ご自分のあとは「若い人々がやってくれる」とおっしゃれる潔さと、それまでの日々に、精神がちゃんと引き継がれるようにしようと、ご指導されてこられた信念を思いますと、偉い方だなぁーとしみじみ感じ入ります…。

ではまた、来週金曜日に。