
「あれじゃあ、眼を悪くしちゃうよなァ」と若者が言ったという話を聞いたことがあります。
刈り取った柴を背に負って、月あかりをたよりに歩きながら読書する少年、二宮金次郎の像。かつては小学校教育のシンボルのように校門の近くに建てられていた、のちの尊徳先生二宮金次郎の像は、戦後ほとんど撤去されたり、校内の目立たない所へ移されたりしていました。「戦後に流行らなくなったもの」の筆頭に挙げられたりもしました。
しかし、お金の話だったら、その二宮金次郎という方のことから始めないといけないようです。なぜかといえば、江戸時代に、経済と道徳のバランスの上に立った経済哲学をうち立てて、主に関東地方の開拓と貧農救済のために一生を過ごされたお方だったからです。
尊敬してやまなかった二宮尊徳さんのお話です。平成9年に開催した永六輔氏とのイベント『爆笑教養講座』の舞台の上に“柴を背負って本を読む金次郎像”があり、その前で永氏が三波に聞きました。
「きょう、三波さんが二宮金次郎について話をするっていうからこの像を置いたんですけど。なんで、この人は、歩きながら本を読んでいるんでしょうかねえ」
「いえ、永さん、違うんですよ。金次郎さんは山で柴を取って来て、それを売った代金で本を買って、仕事を終えてから本を読んだんです。ですから、おなじみのこういう像は、それをいっぺんに表現したものなんです」
これを皮切りに、三波による尊徳さんの話はエンエンと続き、客席は静まり返ったのでした…。
ではまた、来週金曜日に。
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