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2010年02月05日

弘法も筆を選ぶ 1

三波春夫著 「三波春夫でございます」より

 あるクイズ番組に出たら、三波春夫のイメージは?」という出題に対して、通行人の方が街頭インタビューで答えるというおもしろいコーナーがありました。


 もちろん事前にはなにも知らされていないので、本人としては内心楽しみでもあり、心配でもありました。テレビ局が、責任を持ってやる事ですが、ヒョットしたらヒョットするかな?でもヒョットする答えはなく、かわりにこんなのがありました。
「三波春夫という人は、きっと家では毎朝家族を集めて訓話を垂れるようなお父さん」
 これには参ったなァ、思わず苦笑してしまいました。
朝寝坊の私は家族よりゆっくり起きてから新聞を隅から隅まで読むようなずぼらな父親で、そのような偉いお父さんではないのです。ここだけのはなしですが・・・・・・。
 本当に、イメージというのはおもしろいですね。あごが角ばっていて、お酒でもどんどん呑むのじゃないかと思われているようです。ところが、タバコは一本も吸わず、酒も弱くてコップ一杯のビールで酔ってしまいます。「むだを省いて贅沢を」がモットーで、汗を流していただいたお金を無駄に使ってはいけないけれども、使うべきところは使うという主義です。
 舞台衣装の着物にはお金を惜しみません。また、筆にも贅沢をします。まず、万年筆。書きやすいと思ったら、とりあえず買い求めておき、ずらりと並べておいて、その日気に入った万年筆を使うといった具合です。シェーファーやモンブランが多いでしょうか。

良い声と声量には睡眠が大事。
 これは三波の周囲にとっての鉄則でしたから、私もムカシから父の起床が午前10時を回ろうが、「良く寝て頂いてヨカッタです!」という気持ち以外になにもありませんでした(笑)。三波春夫の時間割はずっと、昼は公演や収録、夜に原稿を書くというものだったこともありまして。朝の訓示もない人でヨカッタです…。
 本文にありました舞台衣装のことですが、贅沢とはいえないと思いますし、舞台のきものをお客様が楽しみにしていらっしゃることを承知しており、ご期待にこたえるように、呉服店に発注してデザイン等を指示する担当の母が細かく神経を配って衣装を作っていました。ですので、三波自身はお値段を詳しくは知らなかったと思います。
 「舞台衣装は良いものを、本物を着る」という母の揺るがぬ方針を熟知していたから書いているのでしょう。万年筆などの筆記具は、三波が自分で選んで買い物をする数少ない品のひとつでした。
 ではまた、来週金曜日に。