
毛筆はさらに選びます。
手紙にはこれ、色紙にはこれ、もっと大きな書にはこれ、と決めて五十本ほど持っています。
熊野筆をはじめ日本の筆はいいのですが、やはり出来、不出来はあります。中国の筆はかつてより質が落ちるようですね。先年、韓国で四本ばかり買った筆はとても書き味がよかったですが寿命がきました。それでも捨てるのが惜しくて、箱のなかにねむらせてあります。たとえ、使えなくとも良い筆はいつまでも手元に置いておきたいものなのです。
筆と同様、紙にも気を使います。手紙はもっぱら、巻紙でしたためます。地方にでかけるたびに、その地の手すき和紙を仕入れては、あれこれと試しています。文机に和紙を置き、硯で墨をあたりながら文章を考えるのはよいものです。
昔の中国の文人は「文房清玩」といって、筆や紙に凝ってはひとり書斎(文房)で楽しんでいたそうです。私は、文人ではありませんが、その気持ちはとてもよくわかるような気がします。
「文房を清らかに玩ぶ」――私にとってこれこそが贅沢な、至福のひとときなのです。
三波が先様にお送りした、長ーい巻紙の手紙は、ところによっては表装されて保存頂いているようです(冷汗…)。
ではまた、来週金曜日に。
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