
さて、広く世間の人に知っていただいた「お客様は神様です」の語は、どのようにして拡がることになったのか、後世のために?その記録をすこし。
実は昭和三十六年の春、関西地方のある公演にあてられた体育館は、暗幕がなく、明るかったので、超満員のお客様のお顔がすべて見えました。そりゃもう楽しいステージでした。
司会の宮尾たか志君が「座長、今日のこのお客様をあなたはどう思いますか」というので「そりゃもう、ありがたい。お客様は神様のようです」と答えたところが、会場の神々がヤンヤヤンヤの大笑いとなったのです。私もそれにつられて笑いましたが、宮尾君はもともと落語家の出身ですから、
「そういえば、米作りの神様に、ネギや里イモや野菜作りの神様に、子育ての観音様、種をお播きの男根様、中にゃ恐いよ山の神」
なんてやったものですから、笑いのうずとなり、その翌日のステージから、どうしてもこのネタをやらなければならなくなりました。
話題を取りあげて広げたのは大阪のレッツゴー三匹のトリオでしたが、私の友人の故林家三平さんは、これをうけて「お客様は仏さま」なんてやったりしたこともありました。
それはそれとして、この言葉はさまざまな立場の方にさまざまのバリエーションで使われてきたようですが、さて果たしていつまで人の口の端にのぼりつづけるのでしょうか。
ある時こんな質問を受けたことがあります。
「三波さん、お客様はお金をくださるから神様なんですか」と。私はその時その人に聞きました。
「じゃああなたは神様からお金や何かをもらったことがありますか。お賽銭を上げてお参りするだけでしょう」
「ああそうか、それにしてもわかんないなア、なぜ神様なんだろう」
これはいたし方ないと思いました。人間の心の置きどころが変れば、わからぬことがたくさん出てきます。その質問者も今少し年輪を重ねられたら、気付いてくれる日が来るかもしれません。
「お客様は神様です」の本意につきましては、オフィシャルサイトにてご覧いただけましたら幸いです。
さて、前回お知らせいたしましたが、明日NHK総合テレビにて、『昭和歌謡黄金時代~三波春夫と村田英雄~』がオンエアされます。午前10:05~11:35です。
なお、北海道のみ、12/31 10:05~11:35のオンエアとなります。
どうぞご覧ください。
では、次回は来年1月15日(金)に更新いたします。
本年もお世話様になりました。ありがとうございました。
どうぞ良いお年をお迎え下さいませ。
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