
もちろん、開会式も正面スタンドではなく、病院のベッドで見物するハメになってしまいました。
陛下のおそばで、日本初のオリンピックを見られるという栄誉を台なしにしてしまったのは、なんの因果か、我ながらつくづくあきれました。しかし、そのなかでも、不幸中の幸いだったこともあります。オリンピック観戦のために十日間の休みを取っていたため、関係者のだれにも迷惑をかけなかったのです。退院したその足で、『百年桜』(明治百年記念曲)の吹き込みをスタジオでしたのですが、本当に澄んだ声が出て、いつもより声の調子が上がってしまい、抑えるのに苦労しました。なにせ十日も休んでいたのどですからね。おかげで『百年桜』はヒットしました。まさに怪我の功名だったわけです。
術後の経過も良く、おなかにさらしを巻いたまま、興行を続け、その年のスケジュールは万事終了。昭和三十九年を無事に終えることができました。ところが、安心したのもつかの間、翌年の三月にとんでもないことが起こったのです。三月一日から一ヵ月間、大阪の新歌舞伎座で『大利根無情』の平手造酒を主人公にした『天保深編笠』という芝居とショーを上演するため、二月末から大阪入りしました。ところが、稽古中に盲腸の傷口が痛みはじめたのです。手術を担当された先生にわざわざ大阪にきていただいたところ、なんのあんばいか傷口の周囲に菌が入り、化膿してしまったとの診断でした。膿を出してもらっても、傷口はふさがりません。それからが、大変でした・・・・・・。
なにしろ一ヵ月の長期興行。なにがあっても千秋楽の日まで務めなければなりません。大利根川原の大立ち回りもある芝居と歌の二部立てです。大阪の坂上先生という方にバトンタッチしていただいて毎回、ステージが終わるたびに傷口のガーゼを取り替えにきていただきました。そうやって手当をしてもらいながら、その上にさらしをギュッと巻いて、連日舞台に立っていたのです。一番、困ったのはお風呂です。ドップリ入れないもので、下湯をつかいながら、家内や付き人に上体をゴシゴシ拭いてもらいました。
“休暇を目の前に”や“休みになったとたん”に体調を崩した、ということはよく聞く話ですね。休めるぞー、ということで心身のどこかがホッと緩みすぎちゃうんでしょうか。そして、過労から免疫力が落ちて…といこともよく聞くことですね。本日これを読んで下さったのも何かの縁です。どうか、お忙しい方、ストレスの多い方におかれましては、健康は自ら勝ち取る思いで、日々をお過ごしください。7年近くPSA検査を広める活動をしておりますが、医療関係者のお話しを伺いますと、やっぱり定期的な健診などを自分で心がける事が良いのだと、つくづく思います。
なお、文中の「百年桜」は、本年10月21日リリースの『三波春夫全曲集』に収録されております。
さて、お知らせを致します。今週から『歴史時代書房「時代屋」』さんの“神田小川店”と“新百合丘オーパ店”で、三波春夫グッズを販売中です。グッズは、飾り扇子・携帯扇子・湯のみ。三波春夫の「お客様は神様です」「夢」などの文字とサイン入りです。
書籍『熱血!日本偉人伝』『聖徳太子憲法は生きている』やCD『長編歌謡浪曲スーパーベスト』のシリーズも販売されています。どうぞ店舗へお出かけください。
ではまた、来週金曜日に。
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