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2009年11月20日

五輪音頭のご褒美は 1

三波春夫著 「三波春夫でございます」より

 平成四年はオリンピック・イヤーでしたね。冬のアルベールビル、夏のバルセロナ・・・・・・国を越え、世界中から集まった人々が力の限りにたたかうのを見ることは、とても素晴らしいことです。


 オリンピックを見ていると、いつも思い出すことがあります。昭和三十九年の東京オリンピック――、私は選手としてではなく、歌手として参加しました。そして『東京五輪音頭』を歌った功績で、開会式の十月十日、昭和天皇陛下がご臨席される正面スタンドのすぐ近くの席に委員会から招待状をいただいたのです。
 私は指折り数えて開会式の当日を楽しみにしていたのですが・・・・・・。ところが、前日の九日、高崎で仕事を終えたとたん、身体の調子が急におかしくなってしまいました。下腹部に鋭い痛みが走るのです。私は不安な心持ちで急いで東京に戻り、主治医の横田先生に診察していただくと、なんと急性盲腸炎だということです。「ありゃ!なんとも情けない」。先生は薬で散らすより、すぐに手術だというお話。そして、名医を紹介してくださいました。
 全身麻酔をかけられ、目が覚めたときはベッドの上でした。病室のテレビにはオリンピックの前夜祭の模様が映しだされ、私の『東京五輪音頭』にのって三千人ほどの人々が華やかに踊っていました。情けないやら、うれしいやら・・・・・・なんとも複雑な気持ちでした。

 この『三波春夫でございます』を執筆していた平成4年は、バルセロナオリンピックが開催された年でした。そのオリンピックの終了直後、バルセロナの陸上競技場ど真ん中に組まれた櫓の上で三波は「ハウス東京五輪音頭」を唄いました。その回りでは地元のスペインの方々が何百人も浴衣を着て輪になって、歌に合わせて盆踊り。フジテレビの歌番組『MJ』にての中継出演。そのためだけの、三波一行2泊だけのバルセロナへの旅でした。
 ではまた、来週金曜日に。