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2009年07月16日

イブ・モンタンと雲右衛門 5

三波春夫著 「すべてを我が師として」より

 私にはモンタンのように、外国まで行って歌う勇気はない。それはやはり、言葉が分らないからである。現在雲右衛門のレコードを聞くときに思うことは、言葉がよく分るということの良さだ。五十年前の不完全きわまるレコードですらそうであるから、たいしたものである。だからこそ、当時熊さんや八っつあんですら、高い入場料を払って彼の浪曲を聞きに行ったのであろう。


 思うにその当時も現在も、庶民とは常に正直であり、素直であった。今日では、外国のことにはすべて迎合し、無批判的であり(商標の文字までも)、崇拝的であり、国産品を劣等意識で見てしまう傾向が感じられる。日本人のこのクセが直らぬかぎり、モンタンのような堂々たる歌手や、昔の雲右衛門のような巨星は、生まれてこないと思う。

<八島>
雲右衛門のことが比較として出るのは、三波がこの時期、浪曲出身の歌手として進む上で大いに参考にしていたからでしょう。浪曲中興の祖である雲右衛門の堂々たる藝を尊敬していたのだと思います。