
楽屋へ戻るなり、私は大座布団に腰をおろして、「フーッ」と吐息をつきました。そして、妻がさしだてくれたお茶を、無言で飲み干しました。妻と私は、黙ってしばらく顔を見あわせていました。すぐには、何も語る言葉がなかったのです。
大急ぎで夕食をとると、さっそく“夜の部”の半平太の“白ぬり”にかからなければなりません。やがて、開幕のベル。三波半平太はふたたび舞台へ出て行きました。
<八島>
三波自身も初めてであり、歌手としても一番手の「歌手が座長の、芝居と歌謡ショウの大劇場一ヶ月公演」。この初仕事の一日目は、こんな様子だったわけです。
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