
○この間に、起居(ききょ)をともにした親友が一人できた。その名は藤井武君。
○私の隣にいたある友人は、ソ連政治部員の指令(しれい)で私と劇団長と藤井君の行動を詳細に報告する任務(つまりスパイ)を与えられた。彼は、ひそかにそれを告白したが、いかにも苦し気であり、気の毒だった。
○『百万隊音頭』創作。これは、共産党に入党しよう、というきわめて強烈(きょうれつ)な宣伝の歌だった。芸術文化は、すべて政治に従属(じゅうぞく)するというソ連共産党の鉄則(てっそく)を、すべて私たちも見習ったのである。
<八島>
「ある友人」は、夕飯が終ると決まってどこかに行っているので、おかしいと思って周囲の者と共に問い詰めたところ、スパイと白状した。「それを聞いたときにはゾーッとした」と言っていました。
徹底した思想統制をされる立場の捕虜ですから、本意でなくても「百万隊音頭」を作らざるをえない状況だったのです。
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