
シベリヤの大平原のまっただ中を、私たちを乗せた汽車はコムソモルスクさしてひた走りに走っていました。もっとも、見渡すかぎりの草原ですから、じつにゆっくり走っているようにしか感じられませんでした。
しかし、監視(かんし)のソ連兵の姿もない、芸術家ばかりの自由な旅というわけで、捕虜になって以来はじめての、まことに快適(かいてき)な旅でした。
一行は三十名、『どん底』を上演するスタッフ、キャストと、浪曲『吾子と共に』口演する私、それに政治部員という構成です。
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