« 前   TOP  次 »

2007年08月29日

わが退却の記(2) 10

三波春夫著 「すべてを我が師として」より

 この女性は、避難中の慰安婦でした。十八貫もありそうな女性で、大きなお尻を、まっ黒なモンペに包んで、一生けんめい歩いていました。


 若い兵隊たちの中に女性が一人となれば、そこに“戦争とセックス”といったふうな、変な興味を呼びそうですが、私の経験したかぎりでは、そんなものは何にもありませんでした。みんなが、彼女を温かく見守り、かばいながら歩きつづけました。
 他の分隊にも、四人ほど女性がいましたが、いつも安全な位置において、行軍していました。それは、私たちの部隊の精いっぱいの任務であったのです。国民を守るという…。
 ところで私は、女性が先天的に体力が頑健であるということを、この目で確かめることができました。私たちでさえ、アゴをだしそうになる苦しい行軍なのに、彼女らは、じつに元気に歩いて行くのでした。

<八島>
1貫は3,75kgですから、18貫は67,5kgですね。「お尻の大きなその女性がほんとにしっかりと、疲れを知らないように私たちと一緒に歩いたんで、女性は強いんだなぁとしみじみ思いました」と講演などでも話していましたが、戦場で亡くなる兵士が最期に「お母さん…」と言うことも共に話し、「女性は偉大です」と三波は結んでいました。