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2007年07月27日

わが退却の記(1) 9

三波春夫著 「すべてを我が師として」より

「しまった!発見されたら、皆殺しにされるかも知れんぞ!」
 弾丸が飛んでくるより早く走るなんてことは、できるわけもありませんが、とにかく“宙を飛ぶように”という言葉がピッタリするほどに、走りました。


 戦友たちも必死に走っています。不思議に弾丸は当りませんでした。まるで、弾丸のほうで私をよけているみたいです。
 もういいだろうというころで、バッタリ倒れるように身を伏せました。とたんに、恐ろしさがおかしさに変りました。
 腹のへっているときでも、いざという場合には、なかなか元気のある優秀な兵隊だった私が、背中を丸めて、命からがら逃げて行く恰好なんて、想像してみればおかしなものですね。

<八島>
 昨日と今日の掲載の戦場の様子について、三波が実際に話していたことがありますが、聞いていた私も周りの若い記者方も、ほふく前進中に寝ることや、命からがら逃げた後に可笑しくなったなどは、「えー、そうだったんですか…」と言いながら実感出来るはずがなく。やっぱり寝るものかな、やっぱり可笑しいかな、自分は生き残ることが出来ただろうかと、後から各々が考えてみることしか出来ませんでした。
 ではまた、来週月曜日に。