« 前   TOP  次 »

2007年07月05日

北満戦線の戦い 11

三波春夫著 「すべてを我が師として」より

 首をあげて敵の陣地を眺めた私は、思わず「あっ!」と声をあげました。ソ連兵が、野砲をこちらに向け、何の偽装もせずに、悠々と攻撃態勢をとっているのです。


 その野砲の砲口が、パッと金色の火をふいた。次の瞬間、味方のトーチカは打ち砕かれていました。
 思わずカッとなった私は、小銃を構えなおすと、その砲兵隊めがけて引金を引きました。もう一発。そして、すばやく移動したのですが、運の悪いことに、たったいま私が発砲したその場所に、下級兵の一人が前進してきて、頭をあげたのです。
「危い!」
 私が叫んだ次の瞬間、ソ連の狙撃兵の撃った弾丸は、その下級兵の眉間を貫いていました。